其の43 千鳥

「・・・足立のやろー遅いじゃねーか。どういうことですかとおるくん?」
『うーん。僕にもわかんないよー。きっと、仕事が長引いてるんじゃないかな』
「そうなのかな・・・。でも、そうだったらメールぐらいくれてもいいのに。
ずーっと正座で待機してたんだぞ。足がしびれて倒れるほど頑張ったのに。おのれ足立」
『しかも、まだ足がしびれてて立てないんだよね。この体勢、すんごくきついんだよね』
「そうなんだよ、とおるくん。だから、早く足立さんに来てもらって助けてほしいんだよね。
ったく、はやく来い!あだちー!」
『きっと、もうすぐ来るよ』
「・・・もしかして、来なかったりして。前回の時なんか様子がおかしかったし、足立さん。
また前みたく、俺の前からいなくなっちゃたりして」
『大丈夫だよ。彼はもういなくなったりしない。いなくなる理由が無いもん』
「だよね。あー何、心配してんだろ俺。一人会話までして、馬鹿みたいだ・・・。
はやく、あいたいなぁ」



「すー・・・・・・・・・・・・ぎりぎりぎりぎりggggggg(←歯ぎしり)」

「・・・すっげー体勢で寝てんな。よく寝れるなこれで。へんなやつ。
歯ぎしりも相変わらずだし。・・・はじめて、聞いた時はこんなやつが隣にいたら絶対寝れないと思ったけど、
今じゃ慣れっこだもんね。となりに居てもぜんぜん気になんない。むしろ居ないと気になってしょうがないし。
だから一緒に居たいと思ったんだけど・・・。
やっぱり駄目だ。僕じゃ駄目なんだ。君が記憶を取り戻したんなら・・・僕がそばにいていいはずがない」



「今まで、こんな僕に付き合ってくれてありがとね。本当に本当にありがとう。
それじゃばいばい・・・」

足立逃亡

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