其の32　碁盤攻め

「ジュネスでキャベツ安くってさ。つい箱買いしちゃった！」
「なんで箱なんすか・・・。こんないっぱいどうすんですか！お馬鹿！」
「どうするかは君の仕事だよー。早速、今日うち来てなんか作って」
「なんかって・・・。俺もそんなにレシピ持ってるわけじゃないんすよ・・・。
うー、まずは今日、ロールキャベツ作って・・・明日の朝は野菜炒め作っておけばいいかな・・・夜は回鍋肉にして・・・
あとはえーと、えーと・・・」
「あははははは」
「ずいぶん、嬉しそうですね！全く！」
「なんかこうしてるのが楽しくてさ」
「俺はちっとも楽しくないですよ・・・。このキャベツの山を捌かなきゃいけないかと思うと頭が痛い」
「ごめん、ごめん！お詫びにいくつか持っていっていいから」
「あ、本当ですか！・・・しかたありませんね。でも、次からはこんなに買うのはよしてくださいよ」
「了解しましたー！
・・・えーと、あのさ、いつもいつも本当にありがとうね」
「ど、どうしたんですか急に・・・」
「え、いや、なんか言いたくなったから言っただけだよ」
「そうですか、なんか・・・」
「照れるってか？」
「うん。まあ、その・・・うん」
「あはははかわいーの」
「あ、あなた本当に足立さんですか！？なんかいつもとキャラ違いますよ！」
「今日から、自分に正直に生きることにしたから僕」
「今までも、ずいぶん正直に生きてたと思うんですけど・・・」
「というわけで覚悟しといてよ！これからばんばん攻めてくつもりだからさ」
「な、何を」
「ふふふふふははははは」
「怖い・・・気持ち悪い・・・」
「気持ち悪いって言うな！泣くぞ！
さて、腹が減っては戦は出来ぬと言うし。帰って飯！飯くわせろ」
「はあ。なんかいろいろわけわかんないんすけど・・・。・・・帰りますか」

それでは、また明日！


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