其の28 しめ小また
「なんだよ・・・お見合いって。そんなに結婚したいのかよ。えぇ、どうなんですかトオルくん」
「・・・」
「飯も掃除も洗濯も俺がやってるし。もう、俺が奥さんみたいなもんじゃないですか」
「・・・」
「・・・みたいなだけですけどね。・・・俺は奥さんにはなれない。足立さんとは結婚できない。ずっと一緒にはいられない」
「・・・」
「ずっと、このままでいられたらいいのに。足立さんと馬鹿やって他のことなんか気にしないで、
このままずっとずーっと今の関係のままいれたらいいのに。ね、トオルくん」
「・・・」
「やっぱ、無理だよなぁ。そんなの。」
1時間後
「・・・・すぴー」(ぎりぎりぎり)←歯ぎしり
「・・・・」
月森はよく眠っているようだ。
「・・・・・・ぎりぎりぎりぎりぎりぎり」
「・・・なんで、コイツいんの?しかも寝てるし。相変わらず歯ぎしりうるせー・・・」
「・・・ぎりぎりぎり。・・・あだ・・・ち・・・」
「何、夢にみるほど僕のこと好きなの」
「・・・ん・・・こ」
「あだちん・・・こ?・・・て、てめー!!中学生以来だよそれ言われたの!」
「・・・ぎりぎりぎり」
「だいたい、今日僕こないって言ったのに。なんで来てるの。わけわかんねー」
「・・・・・・」
「しかもそのぬいぐるみなんだよ。僕に似てる気がするんだけど・・・」
「・・・・・・」
「まあいい、起きてから聞こう。まずはそこのぬいぐるみにどいてもらおうか!そこは僕んとこだ!」
其の29 うぐいすの谷渡り
「ふぁー、つっかれたぁー。いやーお見合いって肩こるわ」
「・・・・・・」
「でもなかなかいい人だったなー。気さくな感じで。笑った顔も可愛かったしね」
「・・・・・・」
「まあ、二度と会うことないと思うけど」
「・・・・・・」
「いやーマジで疲れたーもうお見合いはいいやー僕」
「・・・・・・」
「うーやっぱりこうしてるのが一番落ち着くー」
「・・・・・・」
「ずっと、このままでいたいなぁ」
「・・・・・・」
「なーんてね。はは。・・・・・・・・・いつまで、」
「・・・・・・」
「君と一緒にいてもいいかな、僕」
「・・・好きなだけどーぞ」
「・・・マジ?え、え」
「・・・・・・すぴーーーーーーーぎーりぎりぎりぎりぎりぎggggg」
「だから、歯ぎしりうるーせーよ!!ていうか寝言かよ!ちくしょー」
「ぎりぎりぎりぎりぎりぎり」
「はぁー。この歯ぎしりに耐えられんの僕しかいないだろうなぁ。うん」
トオルくんは万能なぬいぐるみで、インテリアとして飾ることはもちろん、寂しい夜は抱き締めて添い寝もでき、
適度な硬さがあるので枕にも最適です。イライラしてるときにはサンドバッグとしても大活躍!
一家に一匹(?)いかがでしょうか。税込6980円のところ、只今在庫一斉処分につき3000円でのご提供となっております。
この機会にぜひ!
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