※事件のない平和な世界
「ねえ、足立さん。今日なんの日か知ってますか？」
「知ってるも何も・・・ぼくの」
「テレビの日だそうですよ。」
「てれびのひ」
「陽介に教えてもらったんです。日本で初めてテレビが放映された日だそうですよ。俺初めて知りました」
「・・・てれびのひ・・・・」
「そうなんですよ。本当、いろんな記念日がありますよねー。あ、俺こっち曲がりますんで。さようなら、足立さん」
「あ」
「なんですか」
「・・・なんでもない。ばいばい」
「はい。さようなら」
「・・・なんだよ。あいつすっかり忘れてやがんの。絶対お祝いしますから、楽しみにしててくださいって
言ったくせに。何がテレビの日だ。ちくしょう。・・・べつに、年くうのなんか全然嬉しくも何ともないさ。でもさ。
かりにもお友達以上のお付き合いしてるんだから、おめでとうの一言ぐらい祝ってくれてもいいじゃねーか！」
「わかりました。では、心からお祝い申し上げます」
「え」
「足立さんお誕生日おめでとうございます！！」
（ぱんっ！！！）
「あだちさんおめでとー！あいしてる！」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「よ、夜中に近所迷惑なことするなよ・・・馬鹿」
「大丈夫です。見渡す限り田んぼだらけで民家なんてありませんから。誰にも迷惑かけてません」
「・・・帰ったんじゃなかったのかよ」
「お祝いしないでなんて帰れませんよ。むしろ今日はお泊りの許可をいただきましたので帰る必要もありませんし」
「今日は朝まで足立さんをお祝いするつもりです」
「ふーん。あっそう」
「もっと喜んでくださいよ」
「あのね。誕生日ごときで浮かれるような年じゃないんだよ」
「とか言って嬉しいくせに・・・いつも以上に顔にしまりがありませんよ。顔ニヤケすぎ」
「ばか！そこは見ないフリしてあげろよ！」
「はいはい」
足立さんお誕生日おめでとうございます！間にあった・・・！
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